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菅、トロントへ

2010. . 28
  カナダで開かれたG8,G20 に菅が出かけていった。オバマは彼の名前を呼ばず、“New Prime Minister” (新首相)で終始通しているそうである。日本から行く首相はサミットごとに顔が変わるのだから仕方ないのだろう。まあそんなことはどうでもよいとしても、菅が張り切って出発前に「各国に訴えてくる」と言っていた「財政再建と経済成長は矛盾しない、両方やる、増税して・・・」云々の主張も、もちろん誰も相手にしなかった。当然である。そんな話に何のリアリティも無いからである。だいたいまだまだ経済成長が足りず、緊縮財政に踏み込めないアメリカと今まさにユーロの危機にあって財政引き締めに走らざるを得ないドイツ、すでに付加価値税増税を決めた英国などの真剣な討議の渦中に、こんなノーテンキな馬鹿げた議論を持ち出して取り合ってもらえると思うほうが愚かなのである。
 ちょうどこの週末、菅のブレーンで、この「増税と景気回復」という珍説を彼に吹き込んだという小野善康という「経済学者」がTVに出てきた。子供だましのようなフリップをみせつつその珍妙な自説を展開した。ほんとうに中学生の研究発表のような議論であった。彼は大阪大の教授であるそうだが不思議で仕方ない。増税した分を、その金額をそのまま国民に「返す」のだという。「雇用を作り出す」という。そして職を得た人間が今度はモノを「買う」から増税した金が「戻る」のだという。「介護などの分野」に金を廻して「雇用を生み出す」という。そこに金額やパーセンテージといった最低限度の数字の裏付けもない。出てくるのはただ、「貴女から僕に100万、(その分野に廻したとして)渡します。」「その100万を、ほら、仕事を持ったらお金使いますよね、ほら戻ります。」と模造紙幣の束を示すだけである。さすがに女子アナからコメンテーターまで一同呆れ顔であった。
 だいたい、「戻す」のであれば、そもそも税金というかたちで徴収などしなければ良いではないか(笑)。そもそも一度役人の懐にいれるところから不信を招いているのだ。この男の議論も基本は「役人が税金という形で金を集めて」使ってやるのだということに尽きる。どうも「再配分」を言っているようなのだが、それも「クリアーに全額戻す」というのだが、税が一度徴収されるのには役人たちの手間も金もかかっているのだ。それがストレートに「全額を戻す」などと云う議論がまず信じられるはずが無い。そして、そもそもいくら位集めて、いくら位「雇用に」廻すというのか、それによってどのくらいの失業が減らせるというのか、この男は、「失業者がいます」それから「介護の分野に(税金で集めた金を)廻し」て「働いてもらいます」などとおよそ手で数えられる数人分のイメージを語るだけで何の目標も値も示さない。現実の「介護の分野」では既に人が足りない。給料が安く、重労働で、失業者にすら人気がないのだ。いったいどうやれば、どのくらいの増税分を投入すれば、どのくらいの雇用が生れ、なおそのお金がどのくらい「消費に廻って戻ってくる」というのだろう。まだまだ公共事業で道路を作ろうというよりたちの悪い暴論である。そしてこれが決定的だったが、さすがにコメンテーターのひとり藤原帰一が聴いていたのだが、そもそも何故「消費税増税」なのかがまったく示されない。回答は「僕は所得税でもいいと思うのですが、消費税でもかまわない・・・」というひどいものであった。要するに話はただ「税収が増えたら・・・」というだけのものに過ぎない。単純に、法人税減税をやって消費税増税をしても、その穴埋めにも足りないのだ。どうやって「金を戻し」たり、「雇用を作りだし」たり出来るのだ。一方、菅ははっきりと「消費税の増税」を、そして自民党の出した10%という数値を「参考にする」とまで発言しているし、それを「公約と受け取ってもらって結構」と言っているのだ。
 あげくのはてにこの馬鹿は「子供手当ては無駄だからすぐやめて欲しいと菅さんに言っておきました」ときた。どうやら総理のブレーンであることが自慢らしい。
 菅はいまや内閣府参与であるというこんな男のアドヴァイスを真剣に聞き、なお財務省におだてられ、取り込まれ、権力の座に着いたとたん経団連に媚を売り、法人税の更なる減税とセットで消費税増税を主張しだしたのだ。さらに「超党派」の財政健全化会議の座長にはもともとの増税論者与謝野馨を据えようとまでしている。基本的に財政赤字といっても日本の国債は日本国民が買っている。つまり「貸している」のだ。税金で奪われるより「貸している」ほうがましというものであろう。法人税が諸外国に比べて高いなどと云うのもでたらめである。日本の大企業は様々な減税措置を享受しているのだ。「海外に行ってしまう」などという。行くものか、それに本当にそうなら行ってもらったらよいのだ。ただし、先進国は団結して金融規制し、銀行税を課税するからそれ以外の国へだ。菅が以前と180度変えて言い出したことはすべて破綻した「 新自由主義」の方向を明らかにしたキャンペーンなのだ。
 つまり、この小野善康という男の説は、完全に「当て馬」であり、菅のアリバイ作りであろうと僕は思う。こんな珍妙な議論を本気で信じているとしたらそれこそ馬鹿だ。そうではなくて、この「説」を利用して、法人税減税―消費税増税をやりぬき、財務省の役人と財界に媚を売り、自らの権力を安泰にしたいのだろう。
 だが、もはや、トロントで示されたようにそんな路線は欧米で相手にもされない。彼らは既に少なくとも「新自由主義・市場原理主義」からは脱却したうえで、現状打開の道を探っているからだ。金融規制の方向をはっきり打ち出しているからだ。菅はいわば古い破綻した方法で権力維持を考えているのだ。
  




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 今回も、トロントのサミットは1万人以上の抗議のデモにあった。商店が破壊され、警察車両が焼かれたそうである。警察はトロント大学の家宅捜索を行い,旗竿、石、レンガなどを押収したそうだ。逮捕者は600人に及んだと聞く。
 僕は一部をTVなどの映像で観ただけだが、デモ隊には赤旗が林立し、「G8 打倒」 「強欲(GREED)集団粉砕」のプラカードがみえた。
 
 前回のブログでも書いたが、「新自由主義」と「市場原理主義」への反省に基いて、英・仏・独は今回はっきりと「金融規制」を打ち出し、「銀行税」を課すことを提案した。現段階では経済成長を優先せざるを得ず、一般的には緊縮財政について欧州に同調できないオバマも、国内での金融機関への国民の厳しい反撥と警戒を背景にし、(税金を投入して、なおかつ高額な報酬を得ている金融機関トップへの反撥も記憶に新しい。)この案には当然理解を示してすばやく動いた。反対したのは日本とカナダだけである。日本は、(菅政権は)、どこまでも税金は消費税増税で弱いものから巻き上げ、法人税はさらに減税し、ましてやあれだけ世界が懲りているにもかかわらず、「儲かったら自分のポケットに、損が出たら税金で穴埋め」の金融業界には規制など考えられず、ましてや課税などもってのほかということなのである。いまだ「新自由主義」であり、何の反省も無く、珍妙な「増税と景気回復」という議論で役人と金融を中軸にした大企業だけがハッピーな世の中を押し付けようとしている。

 トロントで抗議に起ち上がった若者たちのデモは、本当は日本でも、日本の若者たちによって、これら日本の支配者たちに対してこそ向けられるべきものであった。









  
 
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