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「革命をプロデュースした日本人」 小坂文乃

2009. . 14

 痛快な読書であった。これは実に大変なドキュメントである。

 孫文と彼の革命運動、辛亥革命のスポンサー(プロデューサー)となり、孫文が日本にいる時は彼をかくまい、孫文と宋慶齢との結婚のときには私邸を結婚式会場にして要人を招待している、この梅屋庄吉という人物について、どれほどの人が、またどのくらいのことを知っているだろうか。

 本に出てくる当時の新聞で、「支那革命の黒幕」などと云われているので、一定の知名度はあったのかもしれないが、ほとんど知られていないだろう。

 

 とにかく、残念ながら知らなかった僕は、もともと好きな近・現代史にからむ内容であり、それこそ興奮しながら読み終えた。

 孫文も、彼の革命運動も、辛亥革命も、あるいは「宗家の3姉妹」も、僕はまあ通常の範囲で知っているつもりでいた。だが、これほど深く関わり、尽力した日本人がいたことを知らなかった。まさに「身を尽くして」中国の近代革命に、孫文との友情に、人生を賭けている。成功した事業の収益もほとんどそのために使い尽くしているようだ。大人物である。

 

 それにしても、明治・大正・昭和と時代が下るにつれ、政治家も、軍人も、財界人も、何故、こうもみんな駄目になってゆくのだろうか。

 後半に印象的な引用がある。

 1932年、庄吉が満州国でっちあげなどで悪化する日中関係を憂え、自らの人脈、孫文との交友や、蒋介石とのパイプなどを生かして、中国側との対話を提案したときの話、当時の編成動員課長、東条英機は、拳を差し出しながら、「満州はこれで取ったのですぞ。チャンコロのいうことなんぞきけないなあ」と冷笑したという。

 

 現在に至るまで、それこそ「グローバル化」し、世界がどんどんせまくなってゆくのに、この種の政治指導者はどんどん視野が狭くなってゆくのだ。この東条のような政治家が今でも沢山いる。こうして立派な先人の話を読んだりすると、情けない限りである。

 

 この本は、この梅屋庄吉の曾孫にあたる小坂文乃さんによって書かれている。彼女の祖母、つまり庄吉の娘、千世子の記憶、語り、そして残されていた沢山の資料が、この本の中軸になっている。写真館を営み、映画事業でサクセスしただけあって、画像も豊富である。これらがこの本を深く、豊かに、また読みやすくしている。

 これらを公開し、僕を含めた一般の読者に梅屋庄吉という人物を教えてくれた、著者の小坂文乃さん、関係者の方々に感謝である。

 この著者にしか書けなかった、素晴らしいノンフィクションである。

 

 

 

 

 

 

 

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