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「しのびよる破局」と「朝日ジャーナル」

2009. . 20

 僕は、辺見庸氏を尊敬している。出版された著作のほとんどを読み、共感してきた。何よりも現代社会の、僕たちの「敵」に対する認識と怒りに、矛盾を突き出す批判精神に共感を覚えるのである。

 ところが、今回の本「しのびよる破局」については、もちろん共感する部分も多いのだが、違和感を感じる。難病と闘いつつしっかりした批判精神を研ぎ澄まし、怒りを表明されていることへの僕の共感と尊敬はかわらない。

 だが、だがである。例えば、「インターネットによって平板化され・・・」便利になりすぎた?ことへの怒りなどは、僕には思想の後退としか思えない。例えばその「便利さ」に対置して氏は特派員時代「現場近くの村に電話が2台しかない時代」のことを書いている。その電話の順番を待つ間、その「ゆったりした時間感覚」などがなつかしそうにある種の感慨を持って語られる。もしも、「電話などという便利なものが現場につながっていなかった時代」を語り、かつて伝書鳩をとばしたころのその鳩への愛惜を語るひとがいて、氏を批判したら何と言って答えるのだろう。

 

 インターネットに限らず、近代化や科学技術の発展そのものはリアリティ(現実)である。それは個々の人間の思ったとおりの方向に進むとは限らない。だが、リアリティはリアリティであってチョイス(選択)の余地はない。

 子供の頃僕は、21世紀には皆がアニメのように足か背中にジェットがついて飛んで移動できるようになると思っていた。実際はまったく別の方向が発達したわけだ。また、当時テレビというものが子供の思考力を奪う「悪い」ものだという議論が大人たちのあいだで交わされていた。もちろん、世界でテレビをやめようという選択肢などあるはずも無かった。

 

 辺見さん、どうしてしまったのですか?

 「現代のラダイト運動」など夢見ていてどうするのですか?

 リアリティとチョイスをごっちゃにすると、「敵」の思う壺だ。

 例えば、「経済のグローバル化」はリアリティである。否定できない現実だ。だが「新自由主義」や「市場原理主義」は実はチョイスの問題である。「敵」はここを一緒にして、「他に選択肢・生きる道は無い」とまでいう。

 

 「週刊朝日」の企画で「朝日ジャーナル」50周年記念増刊号が書店に並んだ。

 僕の大嫌いな見田宗介がはじめに文章を寄せていたのでちょっとがっかりしたが、全体はまあ面白かった。

 見田は、昔70年代に雑文を書いてそれなりに読まれたが、時代の「雰囲気」で読まれただけで薄っぺらで無内容であった。「気流のなる音」など今「見て」みるといい。まともな日本語にもなっていない。正気とは思えない。また、かれはとりあえずその幼稚な「コミューン論」により、時間的課題を一気に空間的に解決しようとするような、オウム真理教を含む新興宗教とか、一時期はやった「自己啓発セミナー」などにやけに入れ込んでひとを勧誘したりしていたのだ。罪深い、とんでもない男である。

 

 さて、斉藤貴男氏と高村薫女史の文章はそれぞれちがう切り口だったがさすがだった。実は同様の趣旨のことが書かれている。現在の「どうしようもない世界」つまり、格差、貧困、派遣切り、その他、は小泉・竹中らの構造改革にかなりの原因があり、それには実は「選択肢(チョイス)」があったはずだ、と、そうであれば、それを選択した私たち国民自身の責任であるということだ。もちろんリードした財界、政治家、マスコミも悪い、責任は重大である。しかし彼らはいわば確信犯だ。小泉も、また斉藤氏が引用している何人かの「規制改革」論者たちも嘘をついて騙していたわけではない。ここでは、まさに先の辺見庸氏が「蛇蝎の如く嫌っている」三浦朱門や、「遺伝子ですべて決まっている」というナチスばりの江崎玲於奈が取り上げられているが、本音は随時語られていた。にもかかわらず、国民は挙げて小泉(とその「改革」)を、大きな流れを支持したのだ。

 

 つまり、もう騙されてはいけないのだ。近代化も、科学の発展も、経済のグローバル化も、良い悪いを論ずる以前にそれはリアリティである。もう選択の余地は無い。しかし、選択肢のあることはまだまだあるのだ。それこそが「政治」であり「政策」なのだ。

 

 近代化やグローバル化「そのもの」、選択肢の無い現実にたじろいで、選択肢のある「敵」につけいらせてはいけない。

 

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2009.04.20 19:37

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