スポンサーサイト

--. . --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

姫岡玲冶逝く

2015. . 21
 また一人、安保ブント指導者が亡くなった。青木昌彦氏の話である。氏は、日本人初めてのノーベル経済学賞・最有力候補といわれていただけあって、亡くなったニュースは、各紙で大きく報じられていた。だが、彼が安保ブントの姫岡玲冶であることに触れていた新聞は少なかったようだ。僕が見た中では、少しあったが、ふれていても2行どまりだった。
 しかし、僕たちにとっては、何といっても「姫岡国独資」によって安保ブントの理論的支柱となった、島成郎とならぶブントの指導者としての、あの姫岡玲冶が亡くなったという受け止め方が大きい。

 現在、自民党の幹部たちが、強行採決した安保法制に対する反対運動を罵倒し、「昔はこんなものじゃなかった」などと訳知り顔で語る。嫌な時代になったものだ。だが、確かに、青木氏が理論的に支え、島氏によって指導されたブント・全学連による60年安保闘争は、「こんなものではない」大きな闘いであり、実際に内閣を打倒し、その後、自民党といえども気楽に「改憲」などといえなくなるだけの影響力を残したのも確かだ。全学連は何度かの国会突入を闘い、国会を連日取り囲むデモ隊も大規模で、一日50万人を超える動員であった。この経験は、60年代後半の闘争にあって神話のように語られたものである。これらを通底する、「日本の新左翼」の原点ともなった理論的背景を初めに提出したのが、この姫岡氏であった。

 彼は当時、何を打ち出したのか。大雑把にまとめると3つのことを言っている。ひとつは、当時のソ連邦が、その官僚支配によって、「労働者国家」などではくなっていたこと。これは「反スターリン主義」として、痩せても枯れても新左翼が新左翼と称する一番のアイデンティティとなる。例えば当時の日本共産党が、「アメリカの核実験は『悪い』核実験、ソ連の核実験は『良い』核実験」などとしたのに対し、はっきりとソ連の核実験にも反対するというスタンスをとったのだ。今なら当然のこんなことも当時は画期的であった。ふたつめは、日本の帝国主義が「国家独占資本主義」としてその地歩を固め、対米従属でなく、発展した資本主義としての日本帝国主義の自立を主張したことである。これも、安保闘争を「反米愛国」の闘いとした旧左翼に対して、正面から日帝打倒、岸内閣打倒をかかげた、画期的なものであった。「アメリカの戦争に巻き込まれる」どころではなく、日本が「改憲」を通じて「戦争を出来る国」になることを阻止する闘いとしたわけである。さて、三つ目だが、そうした国家独占資本主義に至った、発達した日本の資本主義、日本帝国主義を打倒する闘いは、改良主義や、当時流行した「構造改革」などではなく、直接政権を奪取する暴力革命でなければならない、と堂々と主張した。
 現在に至っては、3つ目の「暴力革命」は間違いだが、先の2つの主張は、実に正解であったことが言えるだろう。当時、他党派から、「宇野経済学と対馬ソ連論とハッタリとの混血」と揶揄された、まさに3つの主張だ。しかし当時、暴力革命は「ハッタリ」で語られたのではない。だからこそ、連日国会を取り巻くデモ隊と群衆におびえた岸は自衛隊の出動まで要請し、弟の佐藤とともに「革命の悪夢」に悩まされた。従って、繰り返すが、岸退陣後、自民党は「再軍備」とか「改憲」とか気楽に語れなくなったのである。

 周知のように、この60年安保闘争のあと、60年代後半に、日本の新左翼は「もうひとつの」もっと大きなピークを迎える。だが、残念ながら60年の闘いのような社会的影響力を持つことはなかった。その大きな理由は、当事者には失礼ながら、姫岡氏のような先見的な理論的支柱に欠け、また、一次ブントのようなスケールの大きな政治指導者を欠いたことであろうと僕は思っている。だから、また惜しい人が亡くなったという思いを一層強く持つわけだ。

 いずれにせよ、現在、信じられないほどの、幼稚な政権の暴力的ともいえる運営によって、安保法制が、そして解釈改憲が進行している中にあって、民主党をはじめとする国会内野党が、これまた信じられないくらい、これを本気で「廃案」にしようとする動きを示さない。(本来なら、あるいは本気なら、あそこまでやられたら、反対派全員議員辞職するくらいの覚悟で闘うべき責任があると思うが、自党の拡大や自己保身ばかり図り、アリバイ的な動きばかり目につく。) 自民党の中では、「安倍は酷いが、野党のおかげで助かっている。」と語られているそうだ。姜尚中氏は、この国会を「消化試合」と呼んだ。さもありなんである。
 
 反原発デモも含め、国会前には今も若者から高齢者まで、多くの市民が繰り出している。僕も数回だが出かけて行った。そのエネルギーは強い。確かに「昔とは違う」が、何も敗北した昔のスタイルを踏襲する必要などない。新しい社会運動は確実に芽生えている。政権も、野党議員も、社会運動を舐めない方が良い。闘いはまだまだこれからだ。



 

 
スポンサーサイト

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://alexisy1789.blog44.fc2.com/tb.php/192-b52acd96
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。