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排外主義の台頭

2014. . 10
 「維新」が「分党」し、「石原新党」に国会議員23名が参加、と報じられた。分党の理由は、先日来言われているが、石原、平沼らがこだわっている「自主憲法制定」である。いうまでもないが、これは、現在の「日本国憲法」が戦勝国アメリカの「押し付け憲法」であって、そもそも憲法として認められない、従って、「憲法改正」に意味はなく、「自主憲法制定」である という理屈だ。
 ほんの少し前まで、こんな理屈は表立って誰も言えなかった。現在の日本国憲法を守るという最低限の良識が国民の間に根付いていたのだと思う。それが簡単に崩され、こんな極論が平気でまかり通り、その旗のもとに複数の国会議員が集まるという。つくずく嫌な時代になったものだ。
 石原、平沼は毎年8月15日に靖国参拝する。「東京裁判は勝者が敗者を裁いた間違った裁判」と言い切る。日本は、中国、アジアを侵略し、ナチ・ドイツ、ファシスト・イタリアと同盟し、連合国と戦って敗北し、戦争犯罪を裁かれた。ポツダム宣言を受諾し、無条件降伏し、占領され、サンフランシスコ平和条約で、なんとか独立し、本当の終戦を迎え、日本国憲法制定をもってこれもなんとか国際社会に復帰した。この常識を、あるいは歴史を否定し、外に「敵」を作り、「愛国」の名のもとに危機と排外主義をあおる。

 実はこうした動きは日本だけではない。先般の欧州議会選挙でも、英国、フランスなどで極右が圧勝した。これまで相手にされなかったこのような排外主義が、注目されざるを得ない勢力になってきたのには理由がある。彼らが、「先代」とちがい、よりソフトに大衆煽動をするようになったこと、そして、そして、そのバックグラウンドには、鬱積したEUへの不満、特に下層の大衆の不満があることだ。「自分たちの仕事を奪うアラブ系の移民」という理屈に彼らはすぐ飛びついた。法的に禁止されたヘイトスピーチも内々では行われただろうことは想像できる。そして、「実際に」腐敗し、自分たちの既得権を守り、下層に負担を押し付けるEU官僚たちの存在は彼らの怒りに簡単に火をつける。 何より、本来彼らを「代表」してきたはずの社民勢力が「既得権」にまみれてしまった。

         Le-Front-national-jubile_article_landscape_pm_v8.jpg 

 こうして、彼らは、欧州議会に一定の地歩を築いた。こうした動きを侮ってはいけない。

 日本でも、石原新党の動きは、言っていることはファナティックであるが、実際は、情勢をよく見極め、計算されている。彼らは老獪である。伊達に歳を取っていない。 「自主憲法」と勇ましく打ち上げて、「解釈改憲」でもなんでも、「アリの一穴」(海外派兵)を開ければしめたものだとわかっている。
 だからこそ、石原は「安倍政権を高く評価している。」と語って安倍を持ち上げ、自民党に媚びてみせ、一方で、「公明党は(解釈改憲に、乃至は憲法改正に)邪魔になってきた。」と、連立排除に牽制する。安倍自民、みんなの党 などとともに、改憲、乃至は解釈改憲で組んでいきたいのだ。
 今、この動きに抵抗できる力のある野党がないのも見越している。民主党など、つい昨日も、元代表の岡田が「(集団的自衛権行使容認に)批判だけしていてもはじまらない」などと、自民党に媚びたばかりだ。(この男は先日も国会質問の冒頭で、「私は必ずしも(集団的自衛権行使に)反対ではないが・・」 と断りを入れた。そして、質問の後、安倍と肩をたたき合って見せた。) 民主党は、自民党には反対しない。完全な「補完勢力」なのである。消費税増税、原発輸出、秘密保護法でも、初めは「修正」でお茶を濁そうとした。石原たちには、ここを完全に見透かされ、馬鹿にされている。「どちらが、自民党に取り入れるか」という勝負になってしまっているからだ。

 「解釈改憲」に本気で反対している国民は実際は大多数だ。だが、その意思を代表する政治家、国会議員がいないのだ。この部分で認められてもほかの部分でダメ、という内容の小粒の政治家ばかりだからだ。

 一内閣による「解釈改憲」など、国是、国の形を変える大問題だ。僕の理屈からいえば、60年安保並みの大衆運動で、政権を倒すべき内容である。
いまや、民主党より公明党、自民党内「保守」勢力、のほうが、まだしもこの問題については良識を持っている。

 数年前、「先代」ル・ペンの登場を阻止するために、決選投票で、「鼻をつまんで」でもシラクに投票を集中したフランス国民のように、日本国民の、近代的市民としての良識を望むものである。

写真は「パリ・マッチ」から。大笑するマリーヌ・ル・ペン、FN(国民戦線)代表。


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